「本当にたまげることってあるのだなあ」
「えっ?」
「これだ」
「原爆?」
「いや、浴風会だ。陸軍特殊情報部が置かれたのは、高井戸の浴風会病院だったという」
「それで?」
「それはさおてき、井の頭線の永福町が空襲で焼かれて可動車両が僅か2両、という話がある。有名だ。慌てて代田連絡線を作って小田急から車両を融通した」
「そうか」
「この2つを結びつけるアイデアが秀逸だ」
「えっ?」
「だからさ。いくら何でも、適当に空襲しただけで1路線の残存車両が2両なんてことはない。しかも、この2両はトンネルに隠して難を逃れたものだ。かなり徹底的な空襲が行われたはずだ。しかし、理由があまり明確ではない。しかし、軍事的に狙われる理由があるとなれば話は別だ」
「どういうこと?」
「他にもある。弾丸列車の東京側終着駅の候補の1つが高井戸だったんだ」
「近いね」
「永福町-浴風会-高井戸のあたりに1つの軍事的求心力があったのだろう。であるから、そこが執拗に狙われたのかもしれない。しかも、そこは徒歩圏内だ」
「わははは」
「近くにB-29が落ちたという話もあるし、戦争がリアルに感じられる地域に住んでいるのかもしれない」